2020/10/13

高齢者が生活する施設の一つとして知られている特別養護老人ホーム。
特養とも呼ばれる施設ですが、費用面での負担が軽いという理由で生活する場所として選びたい、という人も少なくありません。
そこでこの記事では、特養とはどのような施設なのか?その費用や入所条件について解説いたします。
特別養護老人ホームの特徴
特別養護老人ホームは、略して特養と呼ばれることが多い施設です。
認知症や車いす生活などの理由で、自宅での生活が難しい高齢者が集団生活をしています。
終の棲家として生活している人もおり、施設内で看取りをしてくれる施設も数多くあるのも特徴です。
費用負担が軽くなるかたも多く、入所を希望する人も多い施設ですが、その分入所できるまでに時間がかかることがあります。
また入所を希望していても、一定の条件にあてはまっていないと入所することができません。
特別養護老人ホームの入所条件
特養に入所するためには、介護保険法などで定められたいくつかの条件を満たしている必要があります。
1.介護度が要介護3以上で、感染症などの医療的処置を必要としない65歳以上の方。
2.特定疾病が認められた要介護3以上で40歳~64歳までの方。
3.特例による入居が求められた要介護1~2の方。
1.介護度が要介護3以上で、感染症などの医療的処置を必要としない65歳以上の方
介護度は心身の状態をもとにして要介護認定で判定されます。
この介護度が『要介護3』以上であることが入所条件のひとつです。
さらに感染症を持っているなど集団生活が難しい場合には入所できないこともあります。
2.特定疾病が認められた要介護3以上で40歳~64歳までの方
40歳~64歳までの方でも特定疾病が認められ、介護度が要介護3以上であれば、入所条件にあてはまります。
特定疾病には以下のようなものがあります。
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症
・慢性閉塞性肺疾患
・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
3.特例による入居が求められた要介護1~2の方
要介護1~2の方でも特養に入所できる場合があります。
認知症や知的障がい・精神障がいなどで、日常生活を送ることが難しい場合や、一人暮らしなど家族の支援が得られないにもかかわらず、地域での介護サービスの供給が不十分な場合などが該当します。
特別養護老人ホームの費用
特別養護老人ホームの費用は、施設サービス費+居住費+食費+その他日常生活費=月額利用料です。
入所する際の一時金などは必要ありません。
施設サービス費
施設サービス費は、入所する施設のお部屋のタイプにより異なります。
お部屋のタイプには多床室・従来型個室・ユニット型個室・ユニット型準個室の4タイプがあります。
多床室は複数人で一部屋使用、従来型個室は一人部屋です。
それに加え、ユニット型の施設は、10人前後で使用する共同スペースが設置されています。
ユニット型個室は完全に個室に分かれているのに対し、ユニット型準個室は個室同士の仕切りが壁ではないものを指します。
それぞれの施設サービス費は以下です。
介護度・居室別自己負担額(30日間) | ||
居室タイプ | 多床室・従来型個室 | ユニット型個室・ ユニット型準個室 |
要介護1 | 17,190円 | 19,560円 |
要介護2 | 19,230円 | 21,600円 |
要介護3 | 21,360円 | 23,790円 |
要介護4 | 23,400円 | 25,860円 |
要介護5 | 25,410円 | 27,870円 |
また施設によっては、上記の施設サービス費に加えて、介護サービス加算が追加される場合もあります。
介護サービス加算は、施設の設備や職員の配置状況、施設で対応できる処置やサービスなどに応じて異なります。
居住費
居住費とは、いわゆる家賃のことです。
入所する施設のタイプやご本人や扶養されている方の収入の状況により、負担額が異なります。
まとめたのが以下の表です。
利用者負担段階 | 対象者 | 居住費(30日計算の負担限度額) | |||
ユニット型個室 | ユニット型準個室 | 従来型個室 | 多床室 | ||
第4段階 | 一般(市区町村民税課税世帯)
|
60,180円 | 50,040円 | 35,130円 | 25,650円 |
第3段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+ 合計所得金額が80万円超
|
39,300円 | 39,300円 | 24,600円 | 11,100円 |
第2段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+ 合計所得金額が80万円以下
|
24,600円 | 14,700円 | 12,600円 | 11,100円 |
第1段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、老齢福祉年金受給者 または、生活保護者など
|
24,600円 | 14,700円 | 9,600円 | 0円 |
食費
食費はご本人や扶養されている方の収入の状況により、負担額が異なります。
まとめたのが以下の表です。
利用者負担段階 | 対象者 | 食費(30日計算の負担限度額) |
第4段階 | 一般(市区町村民税課税世帯) | 41,760円 |
第3段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+ 合計所得金額が80万円超
|
19,500円 |
第2段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+ 合計所得金額が80万円以下
|
11,700円 |
第1段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税かつ、老齢福祉年金受給者 または、生活保護者など
|
9,000円 |
その他日常生活費
医療費や被服費、し好品などは自己負担が必要です。
ただし、洗濯、おむつ代などは施設側の負担になります。
特別養護老人ホームでの生活
特養では、24時間必要な介護を受けることができます。
入浴介助や排せつ介助、食事介助やレクリエーションの提供などです。
また、医師による往診や看護職員による健康管理が行われます。
終の棲家として、施設内で最期を迎えられるよう、看取りに取り組む施設も増えてきています。
終の棲家となるのが特別養護老人ホーム
費用負担が軽く、終身にわたって入居できる特別養護老人ホーム。
しかし、入所できるのが原則要介護3以上であったり、入所できるまでに時間がかかったりすることがあるのが現状です。
在宅での介護サービスを上手に利用しながら、自分に合った特養探しをしてみてはいかがでしょうか。